ケッアコアトル神殿
Temple de Quezalcoatl

数年前、グラハム・ハンコックという作家の「神々の指紋」という本が(この種類にしては)爆発的に売れた。某テレビ番組「世界○しぎ○見」という番組で取り上げたこともあり、静かなブームになった著作なのだが、その本の中に良く出てくるのがこの「ケツァコアトル」という神様である。
 ケツァコアトルは「はじめ人間の姿を借りて、トルテカ人の神として現れ、そののち、王となり、都をトゥーラに移し、中央平原を支配した」という伝説が残っている。そしてケツァコアトルは、太陽と闇の神軍神ウィツィロポチトリの「生け贄の儀式」に反対し、それによりトルテカかの国は大いに栄えたが、軍神ウィツィロポチトリはケツァコアトルを追放し、東方の海に追いやったのだという。その後、ケツァコアトルはユカタン半島に行き、マヤ文明に影響を残したとされる伝説も残っている。確かにユカタン半島にはここと似た遺跡もあるが、なんだか、とても不思議な興味深い話である。
 まぁ、その神話や著作の説が正しいかどうかは別として、ティオティワカン遺跡の南端にそのケッアコアトルの神殿がある。ここを作ったのはティオティワカン時代より後にこの地を訪れたアステカ人達。確かに建物のつくりも、雰囲気も他の建築物とは大きく異なっている。


神殿と言ってもやはり巨大。近くに行かないと装飾は見えないし、離れないと全体像は見られない。


これが、ケツァコアトル。水と農耕の神で、羽毛の蛇の形をしている。アステカ人の生活の糧、トウモロコシをはぐくむ大切な神だったのだろう。

トラロック、雨の女神だと思われる装飾。アステカ時代と言えば14世紀。日本で言うと鎌倉幕府が倒れた頃だろう。日本で武士の文化が台頭していたあの時代、ここメキシコの地では、こんな文明が進んでいたのかと思うとなんとも言えない不思議な気持ちになる。