ガス室・焼却炉

・・・・・はっきり言って、ここの部屋の説明を書くことすら、恐ろしいものを感じてしまう。
しかし、表紙にも書いたように、これを見た少しでも多くの人が戦争や人の命について考えてくれれば、と考え思い切って書くことにする。


ガス室とは、ここに到着した人間を、「シャワーを浴びさせる」と言って毒ガスで殺すための部屋、そして焼却炉とはその死体を効率よく焼却するための施設である。ヨーロッパ全土から家畜を運ぶ鉄道貨車で運ばれてきた人々は到着すると、全ての持ち物を奪われ、そして医師により「使えるもの」と「使えないもの」に選別されたという。「使えるもの」とされた人々は強制収容所に入れられ、ものすごい悪条件の中、限界まで強制労働させられたという。
そして、「使えない」と判断された人々は「シャワーを浴びさせる」と言われて裸になり、このガス室に入れられ毒ガスですぐに殺されてしまったという・・・。



これがこの建物の全景。アウシュビッツの中でも北東の隅に位置し、ひっそりとしたたたずまいで、中では世にも恐ろしいことが行われていたとは、今は感じさせない。



・・・カメラを向けて許されるものなのか、そしてそれを掲載して良いかずいぶん悩んだが、現実を伝えることがやはり必要と考え、勇気を持って撮影した。これが何万人もの人命を奪った「焼却炉」である。隣のガス室で命を奪っておき、そしてこの車に載せて奥の釜で焼いたのだろう・・・。
ナチスドイツの揺るぎない犯罪の証拠である。ここを訪れる人はみな言葉もなく、しかし真剣な悲しい目でこれらを見つめていた。
毎日ここには花が捧げられている。この日も白い百合のような花が添えられていた・・・。



下の図を見ると、当時3つの釜が存在していた。現在は2つが残っている。これはもう片方の釜になる。


建物横にあった説明版である。左が1941年当時の姿、そして右が現在の姿である。一部壁が無くなっていたり、設備が無くなっていたりしているが、ほぼ当時のまま残っている。内部には恐ろしい焼却装置も残っていた。そして「シャワー室」と信じさせるダミーのシャワーヘッドも一部残っていた。

ナチスは人々をガス室で殺すとき、美しいクラッシック音楽を流しながら殺したという。なぜ、どうして、同じ人間がそこまで残虐なことができるのか、少なくとも今の自分には全く信じられない。